http://el.jibun.atmarkit.co.jp/kaigaiengineer/2011/01/post-95cc.html コネで実現する海外就職どうも、鹿島和郎(かしまかずお)です。前回のコラムで、「次回は英語勉強会の報告を~」みたいなことを書きましたが、勉強会をやってみたところ、それほど書く内容がありませんでした。ということで、勉強会の報告はブログの方に書いて済ますことにして、今回は違ったネタで行こうと思います。 以前、「エンジニアの方々には『海外就職』という選択肢もあるので、検討してみてはどうか」という内容を書きましたが(これやこれ)、具体的な方法についてはあまり触れていなかったと思いますので、今回は具体例をいくつか挙げようと思います。 ■海外就職実例1 自分語りはあまり好きではないのですが、一応私の就職までの経緯を書いておきます。 一言で言うとコネです。「隣の芝は青く見える」なんて諺がありますが、こと海外生活、海外就職に関してはその傾向が強いようで、以下のような誤解をしている方もたまに見受けられます(以前のエントリとかぶる部分もありますが)。
自分の場合のコネは、別に親が国会議員でとかそういうスゴイものではなく、当時の英語の先生の従兄が会社の社長だったというものです。 「え、コネなんてないんだけど」っていう人もそれほど心配する必要はありません。なければ作ればいいだけですので。 肝心のコネの作り方ですが、簡単にいうといろんな人と会って仲良くする、それに尽きると思います。うろ覚えですが、私の場合は大体以下のような感じだったと思います。
これだけだと「え、運が良かっただけじゃん」って言われそうですので、いろんな人に会う方法をいくつか紹介します。 ○コネ作りの方法その1:パーティー 以前にも少し書いた通り、まぁ飲み会です。日本との違いは、友達とかを連れてくるのも割と一般的というところでしょうか。お酒が飲めない人はソフトドリンクで参戦すると良いと思います。 重要なことは、最初は頑張っていろんな人に声をかける、顔を出すことに意義があるので忙しくてもちょっとだけは顔を出す、くらいでしょうか。 ○コネ作りの方法その2:ローカルコミュニティ これは以前紹介した「アプレンティスシップパターン」に載っていた方法ですが、ある程度の規模の都市であればコンピュータ関係のコミュニティの1 つや2つはあると思います。日本で言う○○ユーザー会とか××勉強会とかその類のものです。そういうのに参加すれば、もろ同じ業界の人たちと知り合いにな れますので、仲良くなってくれば仕事を募集している話とかが聞けるかもしれません。 もしそういうコミュニティがなければ……分かりますよね。自分で作ればいいのです。 なお、コミュニティやそういうのに興味がある人を探すには、Facebookとかcraigslistとかを使うといいと思います。 ■海外就職実例2 さて、昨年後半に知り合った別の方の例を紹介したいと思います。ニックネームHALK RICEさんは、以前から海外での就職に興味を持っていて、それがきっかけで知り合ったのですが、彼の場合も就職のきっかけはコネだったようです。 昨年の夏に彼が勤めていた会社が黒字倒産し、最初は東京で外資系の会社での仕事を探していたようですが上手く行かなかったようです。以下、彼のメールから引用します。
彼はそこで一念発起して、友人が住んでいるフィリピンに渡って仕事を探すことを決意し、結論から言うと現地でIT関係の仕事を得ることができました。 彼がフィリピンを選択した理由も色々聞いていますが、まとめると以下の通りです。
彼の就職までの経緯は以下の通りです。
ちなみに、就職が決まるまでにかかった費用は20万円弱だそうです。 彼の場合、技術はしっかりしたものがありましたが、TOEIC 375点ということからも分かるように、英語力は全然高くありませんでした。それでも仕事を得ることをできた理由は、私は以下のように考えています。
最後に、HALK RICEさんのメールから再度引用して、2つ目の実例紹介を終えたいと思います。
※このように人を食い物にするような業者はフィリピンに限らずどこの国にもいますので、注意が必要です。 ■成功率はどの程度 これも何回か書いているように、「海外に行けば何でも解決する」とか「TOEIC 375点でも何とかなるんだし、何も考えずにとりあえず海外に行ってみるべき」とかを無責任に言う気はありません。今回は海外で仕事を得た例を2つほど紹 介しましたが、海外就職を希望して実際に就職できる人の割合というのはどの程度なのでしょうか。 「海外就職 割合」などで検索してみましたが、具体的な数字は見つかりませんでした。韓国での同様の調査を紹介しているブログ記事みたいなのは見つかって、それによると韓国では海外求職申請者は24429人に対して就職できた人は1446人で、成功率5.9%という数字が出ていました。情報源が「韓国産業人力公団」としか書いてないので、正確な内容は分からないですが。 また、日本人の方が韓国人より英語力は低い→ 日本人の場合はさらに成功率が低いはずだという若干乱暴な論理展開をしているブログも見つかりました。 私はいくつかの理由によりその意見には賛成できませんが、いずれにしても日本人の海外就職成功率が30%とか50%という数字ではないことは確かなようで、せいぜい10%程度と考えるのが自然だと思います。 10%というとかなりの低確率のように思えますが、私はこの数字だけを見て怯む必要もないと思います。 数字というのは(基本的には)嘘はつかないですが、トリックが隠されていることが往々にしてあります。例えば日本の失業率は4.9%です。(完 全)失業率=(完全)失業者/労働力人口 ですが、この「完全失業者」の定義を知ると、世間一般の「失業者」の感覚と若干違うというのに気付くかもしれません。 同様に、海外就職の成功率の分母と分子はなんでしょうか。分子は海外で就労ビザやそれに類するステータスを取得して就労している人であまりブレは なさそうですが、分母にどういう人を取るかで成功率が大きく変わってきます。分母に以下のような人を含むと、成功率の数字はがくっと下がると思います。
逆に、(曖昧な言い方になってしまいますが)事前にしっかり準備して就職活動をした方の就職率は、前述の数字よりは高いはずですし、実際に私の周りでも海外で就職した方はそれなりの人数がいます。 海外に住むこと、海外で働くことのメリット(とデメリット)については以前少し書きましたが(英語編、待遇編)、若干のリスクを取ってでも多くの方(特に若い方)に挑戦して欲しいと思います。 ※ボストンで毎年開催されている、主に日本人留学生向けの就職フェアみたいなのです。 ■リスク では、海外に行くことによるリスクとは何でしょうか。 一番のリスクは、行ってみたはいいけど仕事が見つからず時間が過ぎてしまうことだと思います。お金もかかり職歴にも穴が開いてしまいます。 対策として一番最初に挙げるべきこととしては、(これに限った話ではないですが)バックアッププランを考えておくことだと思います(英語だと Plan Bなんて言います)。例えば、海外就職に失敗して戻ってきたときに、知り合いの勤めている会社に潜り込めないか、今勤めている会社に復帰できる可能性はな いか、などを事前に探っておくと良いと思います。 後は以前も少し書いたとおり、インターンで経験を積む、あるいは自分経歴と比較して少しレベルの低いポジションで仕事を探す、という方法もあるか と思います。後者の場合、resumeの書き方で気をつけないとoverqualificationで落とされるケースもあるようですので、そういうこと も含めて情報にしっかり収集をしておくと、成功の可能性が高まると思います。 仮に海外就職に失敗したとしても、それほど悲観する必要はないと思います。海外就職のために各国の労働市場・環境の調査、英語や足りない技術の勉強を行ったことは別の場所でも生かされると思います。 また、個人的な意見になってしまいますが、仮に私が採用担当として面接を行う場合には、そうしたリスクを取って何かに挑戦したという点は評価すると思いますし、同じような考えの方は少なくないと思います。 ■まとめ 海外就職の成功率は数字だけ見ると低いですが、しっかりとした事前準備+ちょっとの行動力があれば意外と道が開けるかもしれません。その際に、人との繋がり(コネ)はいざという時に重要ですので、色んな人と会って仲良くしておくといいと思います。 また、残念ながら就職ができなかったとしても、その過程での勉強・経験などはその後に役に立つはずですし、「挑戦した」という事実を評価してくれる人もいるかもしれません。 次回は最近増えている企業の海外進出について書こうと思います。それではまた。 |